世界No.1でも規制を強化? 激変する中国の教育事情を紹介
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日本では文部科学省がGIGAスクール構想を進め、2021年から小学校では1人1台のデバイスが配られ始めました。
教育のデジタル化が急速に進み始めている日本ですが、中国では日本を遥かに凌駕したスピードで教育のデジタル化が進んでいます。
さらに2018年に行われたPISA(国際学力調査)では、世界No.1になるなど国際的にも注目が集まっています。
今回は、そんな中国の教育事情と、近年強化された様々な規制について紹介していきます。
日本と同じ!?中国の教育制度
中国の教育制度は、日本と同じく小学校6年・初級中学3年・高級中学3年・大学4年(6-3-3-4年制)となっています。
義務教育期間は、1986年に制定された義務教育法によって小学校と初級中学の9年と定められました。
9年間の義務教育期間を終えた後は、日本における高校にあたる高級中学や、職業教育を行う中等専門学校、技術労働者学校、職業中学などへと進路が分かれています。
なかでも高級中学で過ごす3年間は、大学受験に向けて非常に重要な期間となっています。
世界一の受験戦争
中国の大学受験競争は、世界一大変とも言われています。
毎年6月6日と7日に行われる「高考(ガオカオ)」(大学入試センター試験のようなもの)には、1000万人以上の受験生がエントリーします。
日本のセンター試験は約50万人なので、約20倍の競争を勝ち抜く必要があることからも競争の熾烈さが分かります。
さらに日本と異なり、ほとんどの大学が国立大学で、大学の数は約90校しかありません。
私立大学がほとんどないため、個別入試がなく、一発本番で全てが決まります。
そのため、受験勉強は小学生から始まり、高校3年生では寝る時間も削りながら全てを入試にかけます。
場合によっては受験会場の近くに引っ越しをして、家族総出で受験生をサポートするケースもあるようです。
徹底管理! 脳波の測定やAIカメラの普及
学力向上のために、様々なテクノロジーを用いて子どもたちの学習を管理する試みも行われています。
最近、中国の一部の小学校で、子どもたちが脳波を測定するためのヘッドバンドをつけていることが話題になりました。
測定した脳波によってヘッドバンドの光る色が変化するので、生徒が授業や課題に集中しているのか、先生が簡単に見抜けるようになっています。
また、子ども部屋の勉強机にAIカメラを設置する家庭も増えています。
TiKTokを運営するバイトダンス社が開発した電気スタンドには、子どもの顔や手元の様子を遠隔で確認するためのカメラが内臓されています。
価格は1万円以上と高価ですが、発売開始1ヶ月で1万台以上が売れていて、確かなニーズがあることが分かります。
背景には、世界一の受験勉強に向けて徹底的に子どもの学習を管理したいという思いがあるようですが、国民からはプライバシー保護への懸念の声もあがっています。
今後も管理と自由の最適なバランスが模索され続けるのではないでしょうか。
勉強しすぎ?宿題禁止令、塾も禁止に
これまで過激な競争とテクノロジーの力で学力向上を進めてきた中国ですが、過剰な教育熱を問題視した中国政府は、2021年7月下旬に「双減政策」というものを打ち出しました。
これは、「宿題」と「塾」を制限するための政策です。
宿題禁止について、「小学1年生と2年生に対して、筆記の宿題を出してはいけない」「小学3年生から6年生の筆記の宿題は1時間以内、中学生は90分以内に終わる分量を守ること」などが明記されています。
また、宿題が終わらなくても「睡眠を優先するように」と記載されています。
塾禁止については、週末・祝日・夏休み・冬休みの授業が禁止になりました。
さらに、小学生になる前に塾に通うことも認められなくなり、塾の新規開校も禁止になりました。
ここまで極端な政策を打ち出す背景には、教育費が高くなりすぎて、子どもを2人以上持つ家庭が減ってしまったことが挙げられます。
日本の場合は、詰め込み教育自体が問題視され、ゆとり教育になりましたが、中国の場合は人口減少を止めるための施策として、ゆとり教育へのシフトしていることが分かります。
遊ぶのも禁止? ゲームの時間も制限対象に
双減政策(宿題と塾の規制)によって、子どもたちの時間に余裕ができ、ゲームをする時間が増えるかと思えば、決してそうではありません。
2021年8月下旬に中国政府は、18歳未満のゲーム利用時間に制限をかけました。
ゲームができるのは、金、土、日、祝日の20:00〜21:00の1時間だけとし、それ以外の時間はゲームを禁止にしたのです。
つまり1週間で3時間しかゲームが出来ない状態になり、規制が始まった当初は、20:00〜21:00にユーザーが殺到し、サーバー落ちてしまってゲームで遊べない状態になったほどでした。
中国政府は勉強とゲームを規制することで出来た時間は、文化・芸術活動やスポーツ、ボランティアを奨励しています。
さいごに
近年の中国教育事情はいかがでしたか?
日本の受験も大変ですが、中国の過酷さには及ばないかもしれません。
他国の教育と比較しながら、日本の教育はどうしていくべきなのか、少しでも考えるきっかけになれば幸いです。