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フィンランドの教育の秘密とは?子どもの個性と学力を伸ばす制度や特徴を紹介

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フィンランドの教育の秘密とは?子どもの個性と学力を伸ばす制度や特徴を紹介

目次

    みなさんフィンランドといったら何を思い浮かべるでしょうか?
    フィンランドといえば北欧、ムーミン、サンタクロースなどでよく知られているかと思います。

    そんなフィンランドですが、実は「教育」において世界的に高い評価を受けています。

    学習到達度に関する国際学力調査PISAでは、読解力・数学リテラシー・科学的リテラシーのすべての分野で2003年、2006年ともに1位または2位を獲得しています。
    また、世界幸福度ランキングでも4年連続で1位に輝いています。

    そこで、今回は現在フィンランドに留学中の筆者が現地で聞いた声も交えつつ、
    フィンランドの教育制度や特徴、課題を見ていきます。

    【義務教育は12年】フィンランドの教育制度

    まずはフィンランドの教育制度を見ていきましょう。

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    フィンランドの教育は、小学校の入学前のプレスクールから始まります。

    1年間の就学前教育を経て、小学校がスタートします。
    基礎教育といわれるいわゆる義務教育期間は小学校から高校までの12年間です。

    つい最近までは義務教育期間は日本と同じ9年間でしたが、2021年8月に改定されました。

    高校は普通高校か職業学校のどちらかを選ぶことができます。
    高等教育の後は大学に進学し、多くの学生が大学院を修了します。

    フィンランド政府としては5年間で大学院までを修了することを推進していますが、実際には休学したり、卒業を伸ばす人も多いといわれています。

    また、日本との違いとして、フィンランドには「ボランティア追加基礎教育」という制度があります。
    これにより、義務教育終了後に学ぶ必要があると判断された場合や、本人の意思で志望した場合に、もう1年間追加の費用なしで学校に通うことができます。

    学習についていけない状態を放置するのではなく、必要な学力を身につけてから進学しようという考えに基づいています。

    【大学院まで無料】フィンランドの教育の特徴

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    ※筆者撮影 タンペレ市内

    教育費が無料

    続いて、フィンランドの教育の大きな特徴を見ていきましょう。

    フィンランドではプレスクールから大学院まで学費が無料です。
    学費だけでなく、給食費や文房具代も支給されます。物価は高いけれど教育にはお金がかからないというのが大きな魅力ですね。

    また、大学では生活費をはじめとした補助金も支給されます。そのため、学生にはアルバイトをしなくとも勉学に励むことができる環境が提供されているのです。

    このように、学生にはメリットが多く、学びたいだけ学ぶことができます。そのため、卒業できるけれど、あえて卒業しない学生も多くいます。

    教員の質が高い

    フィンランドは教員の質が非常に高いことでも有名です。

    教員の倍率は高く、教員になるためには大学院修了が条件となっています。

    25年ほど前に行われた教育改革によって、日本の学習指導要領にあたるコア・カリキュラムが大きく削減されました。
    これにより授業の自由度が上がり、質の高い教員に授業の裁量権が与えられました。

    個性を伸ばす教育

    フィンランドでは、子どもたちの個性を育み、主体性を伸ばす教育が取り入れられています。

    学校は子どもの平等を徹底しており、子どもたちは比較されることなく柔軟な教育を受けることができます。

    子どもの個性を活かすために、教員は子どもたち一人一人とのコミュニケーションを非常に大切にしています。
    学習時間は短く、1週間の合計授業時間は、1・2年生が約19時間、それ以上の学年は約26時間となっています。
    日本の場合は、1年生の授業数は1週間で24コマですが、2年生では26コマ、そして6年生となると29コマとなり、学年が上がるにつれて授業数も段階的に増えていきます。

    フィンランドの学校では、低学年の間は宿題はあまり出ません。高学年になると、徐々にエッセイやプレゼンテーション、授業内テストなどが増えていきます。
    ただし、子どもたちはただ暗記するのではなく、学んだことをどうやって応用できるか、自分で考える力が求められます。

    【理想と挑戦】フィンランドの教育の質の低下?

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    ※筆者撮影 フィンランドのエスポー市から臨むバルト海

    ここまで、フィンランドの教育制度について見てきました。

    子どもたちにとって理想的な教育を提供しているように見えるフィンランドですが、実は近年教育の質が低下してきているとも言われています。
    実際に、2018年最新の国際学力調査PISAでは、フィンランドは読解力7位・数学リテラシー16位・科学的リテラシー6位という結果でした。1位や2位を獲得していた、2006年から順位が落ちていることが分かります。

    これには一体どんな背景があるのでしょうか?

    移民の増加

    筆者は何人かのフィンランド人に、フィンランドの教育についてどう思うか聞いてみました。

    するとみんな口をそろえて、フィンランドの教育の質の低下には「移民」の存在があるといいます。

    フィンランドは近年移民を積極的に受け入れています。
    そのため、フィンランド語や英語が分からない移民の子どもたちや親が、教員とうまくコミュニケーションが取れないという現状も見られるようになりました。

    特別支援学級の統合

    もう一つの教育の質低下の背景に、特別支援学級の統合があるといいます。
    数年前にいわゆる特別支援学級をなくして、通常のクラスに統合する取り組みが行われるようになりました。

    これにより、通常クラス、特別支援学級の子どもたちは同じレベルやスピードで学ぶことになります。
    そのため、担任教師の負担が増え、クラス全体の学力の低下につながっているといわれています。

    この取り組みの背景には、「みんなに平等な教育を」という考えがありますが、疑問を持っているフィンランド人もいるといいます。

    このように、フィンランドの教育のあり方は徐々に変化しつつあります。

    おわりに

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    ※筆者撮影 フィンランドのタンペレ市内

    いかがだったでしょうか?

    世界的に高い評価を受ける一方で、様々な課題にも直面しているフィンランドの教育。

    そんな中でも、個性を大切にするという基本理念は変わっていないようです。

    フィンランドの柔軟な教育から、日本の教育のあり方になにかヒントが得られるのではないかと思います。

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