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【協賛記念】なぜソニーはフルマと共に、子どもたちを「クリエイター」として応援するのか

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【協賛記念】なぜソニーはフルマと共に、子どもたちを「クリエイター」として応援するのか

目次

    全国小中学生動画コンテスト 「FULMA Creator Awards」。今年で2回目の開催となるこのコンテストですが、今回よりソニー株式会社さんに協賛いただけることになりました。
    ソニーさんといえば、誰もが知る「日本を代表するメーカー」。エンターテイメント×テクノロジーの最先端で、誰かの心を動かそうとする人が頼るツールを、世界に届けている企業です。
    YouTubeの世界でも、その存在感は大きく、子どもたちが普段観ているクリエイターでもソニーのフルサイズ一眼カメラ「Alpha7シリーズ」を相棒とする人は、数えきれません!
    今回は、そのAlpha7シリーズをはじめ、コンパクトカメラなどの商品企画を担当し、大手出版社より写真集カレンダーを出版する写真家でもある、ソニーの高江遊さんにお話を聞きました。

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    高江遊さん
    ソニー(株) 共創戦略推進部門・イメージング商品企画1部1課・統括課長
    2003年ソニー株式会社入社。経営企画、広報などスタッフ職を幅広く経験。広報時代に一眼カメラAlphaで世界遺産の姿を記録する“α” CLOCKプロジェクトを立ち上げたことがきっかけで、現在のAlphaシリーズのカメラ本体やレンズ、アクセサリの商品企画を担当し、2023年2月より現職。

    “α” CLOCKプロジェクト ウェブサイト
    https://www.sony.net/united/clock/

    子どもたちを「表現したいものがあるクリエイター」として応援

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    フルマ齊藤:本日は、よろしくお願いします!ソニーさんには、今年からご協賛いただけることになりました。ありがとうございます!

    ソニー高江:どうぞ、よろしくお願いします!

    フルマ齊藤:ソニーさんとお付き合いがはじまったのは1年ほど前から。僕たちフルマが、YouTuberへの興味から「自分でも動画制作をしたい!」という子どもたち向けにはじめた教育事業。開始当時からかなり珍しい事業だったこともあって、ご縁をいただきました。今回もFULMA Creator Awardsをご支援いただいているのは、どういった理由なのでしょうか。

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    ソニー高江:まず、ソニーという会社全体として「クリエイターをサポートしていこう」という想いがあります。そして、フルマさんのコンテストに協賛するにあたり、実は「小学生だから」「中学生だから」という意識はあまりないんです。ですが、やはり世代ごとに考え方、置かれている環境は違うので、若い人だからこそ持ってる「感性」はあると思っています。

    そうした独自の感性を持つ人たちが、純粋に表現したいものがあるなら、もちろん応援したい。それは、トッププロのクリエイターを応援する理由と同じですね。

    フルマ齊藤:僕たちフルマも、子どもではなく、1人のクリエイターとして接しています。動画制作を教えていると、「なんでそんなこと、したんだろう?」と、意図が分からない作品が出てくることもあるんですが、それは僕らの想像できる範囲を超えているからなんだと思っています。今回のコンテストから、面白いクリエイターたちが育つ機会になってくれたら嬉しいです。

    ソニー高江:ソニーからすると、そうした世代のクリエイターを応援するチャンスがこれまでになかったんです。例えば、小学校にカメラをお配りしたとしても、それが有効に活用いただけるかは、分からない。だからこそ、フルマさんのコンテストの趣旨をお聞きして「こんないい機会があるんだ!」と思い、協賛させていただきました。「協賛」というと、一歩ひいた立場のように聞こえますが、映像をやろうと思っている人たちを、一緒に応援する。そんな気持ちです。

    技術は後。まずは「伝えたいこと」を大切に。

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    高江さん撮影の「世界の絶景」を観ることができる個人HP「takae.com

    フルマ齊藤:驚くべきことなんですが……高江さんは、ソニーの社員としてカメラの商品企画を担当されながら、世界を飛び回って、絶景を撮る写真家でもあります!

    「高江さんの写真をきっかけに、旅行客が増えた」チェコ大使館に呼ばれたり、出版社からオファーを受け、ついには写真集カレンダーを出版されたり……高江さんは、ずっと写真がお好きだったのですか。

    ソニー高江:小さい頃から使い捨てカメラで撮ったりという興味はありましたが、カメラへの意識が変わったのは大学時代で。2年生で必ず海外に留学する学部でした。みんな世界中のいろんなところに留学するので「お互いの様子が知れたら、面白いんじゃないかな?」と思って、学生のチャレンジに資金を出してくれる学内プログラムに「留学先の写真オンライン共有」企画を出したら、通ったんです。

    留学先は世界中バラバラなので、同じ週でも、ビーチで勉強している人もいれば、雪の中を歩いている人もいる。その企画でも、そうした留学生活を写真付きで、掲示板に投稿し合うんです!

    フルマ齊藤:世界中に留学してる気分になれる、いい企画ですね。

    ソニー高江:当時は1999年で、Facebook、X(Twitter)、mixiのようなSNSもなかった時代です。私がサーバーを立ち上げて、コードを書いて、電子掲示板をつくる。そして、大学の公式プログラムとしてカメラが内蔵されたノートPCが配布されました。ほんと色んな投稿があって、観ていて、楽しかったですね!

    フルマ齊藤:インスタグラムみたいなことを、そんな時期に!ただの留学生活報告でなくて、「写真付き」なのがすごく重要ですね。

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    ソニー高江:そうなんです!当時から「カメラそのもの」というより「よりリッチに様子、コンディションを伝えるツールとしてカメラ」に興味がありましたね。

    フルマ齊藤:今、子どもたちが動画制作に関心を持っているのも、まさに動画が「情報をリッチに伝えられる」ツールだからでもある、と思います。伝えたいことがあれば、動画は一番情報量が多いですから。

    ソニー高江:動画は情報量が多くできるからこそ、動画制作をする子どもたちには、「何を伝えたいかのか」を一番大切にしてほしいです!テーマ設定、ストーリーの部分ですね。そこさえ、しっかりしていれば、極端な話ですが、技術がなくとも、映像としては成立するんです!

    仮に、VFX(視覚効果:撮影した映像を処理し、現実では実現不可能な映像を制作する技術)みたいな、すごーい技術がいくらあっても、伝えるものがないと、作品にはならない。技術って、あくまで「手段」なんですよね!

    フルマ齊藤:なるほど!去年、優秀賞を受賞した「秘密のまゆこちゃん」という作品があります。フルマの動画制作スクール(フルマオンライン)に通い始めて、最初に作った動画で、技術的にはそんなに凝った編集がなされた作品ではありません。でも、企画が独創的で、かつ見応えのある作品なんです!

    ソニー高江:お、どんな作品だったのでしょうか?

    フルマ齊藤:まず「まゆげがかゆくなるのは、まゆげに人が住んでいるのではないか」という発想からスタートして、まゆげの中に住んでる人の視点で、物語が進行していくんです。

    もし、朝に人が洗顔をすると、まゆげの中のまゆこちゃんに、雨みたいに水が降ってきて「大変だ〜!!」とあたふたしたりするんです(笑)

    ソニー高江:すごい!しっかりテーマが設定されている!かつ、独創的なのがいいですね〜。

    まゆこちゃんの例からも分かりますが、大事なのは「テーマの大小」をあまり気にしないこと、かもしれません。壮大な世界を描く必要はなくて、やっぱり自分に身近な物のテーマの作品を、ぜひ応募してみていただきたいです!

    例えば、「自分の指」とか、「お父さんの入浴」みたいな(笑)。身近な空間、身近な世界の方が、自分のフィールドとしては得意。なので、その範囲で、まとめてもらった方が、結果的に作品のクオリティーは、グンッと上がる!大きな世界を描く必要はなく、むしろ、いかに小さく、コンパクトにまとめるか。身近なところから始めた方が、絶対いいものができると思います!

    フルマ齊藤:自分の手の届く中で表現しようとすると、いろんな工夫が生まれますよね!大人なら、お金を使って物も、ノウハウも好きに買えますが、子どもはそうもいかない。ないなら、作るしかない!その制約からクリエイティビティが生まれる気がしています。

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    フルマ齊藤:まゆこちゃんの場合は、まゆこちゃんが暮らす「まゆげ」はモールで作られています。ある程度の柔軟性と硬さを兼ね備えているので、まゆこちゃんが掴まるアクションにも対応できますね!

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    フルマ齊藤:動画を作った子はまだ動画作りをはじめたばかりで、「洗顔で顔が濡れる時に、雨のように水が降りかかってくるまゆこちゃん」を表現したいけれど、水のエフェクトが分からなかったんです。そこで、キッチンにあるブルーの水切りネットをカメラの前に被せることで、対応!工夫が素晴らしいですよね。

    ソニー高江:面白いですね〜そういう発想は、素晴らしい!

    フルマ齊藤:「秘密のまゆこちゃん」もそうですが、やっぱり、テーマの設定で大事だなと感じるのは、作った人の熱量が伝わってくるもの。自分が本当に興味があって、本気で作っているものは、人を惹きつけると思います!

    その対極にあるのは、他の人にやらされて動画を作ることでしょうか。動画を作って編集するなんて、ものすごく時間がかかるもの。自分が本気になるのが難しいテーマを選んでしまうのはもったいない!ひとりのクレイジーなこだわりが、映像になって出てくるのを、僕たちは楽しみにしています。

    映像はごまかせない。「作品に落とし込む」という学び

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    フルマ齊藤:「企画して、実際に撮影して、最後まで編集し、一気通貫で作品にする」子どもの時代に、そうやって全部自分の責任の下で作品に落とし込む機会は、滅多にないですよね。コンテストの応募作品を作るのが、そういう貴重な機会になれば、いいなと。

    普段、僕らは子どもが作りたいものがちゃんと作れるようにサポートしていますが、今回のコンテスト応募作品には「動画は最長3分」という制限があります。だから、今まで20分間、自分の話したいことを喋るゲーム実況を作っている子が、「3分で、何を作ろうか」と考えるんです。

    ソニー高江:それは、いい挑戦ですね〜。制限された短い時間の中で伝えるとなると、必ず論理的な思考が必要になります。なぜなら、伝えたいことを、クリアにしないと、伝わらないんです。作文や小論文では誤魔化せることが、映像だと絶対に誤魔化せないんです!文章の場合は繋がっていなくとも、読んだ人がうまく意味を補完して読んでくれますが、映像はパッとみて「なんだ?」と感じてしまう。

    フルマ齊藤:確かに、そうですね!

    ソニー高江:だからこそ、作品を作って応募する皆さんにとっては、素晴らしいトレーニングになると思います。

    フルマ齊藤:なるほど!実際に、子ども達の中では、とりあえずやってみて、いろいろ気づいていくっていう状態にあると思います。

    ソニー高江:カメラの商品企画をする私たちは写真や動画を撮影する目的として「記録」と「作品作り」は別のものとして考えています。

    子どもたちの多くは、スマホでの記録からカメラに触れる。フルマさんに通う子どもたち、今回のコンテストに応募する子どもたちは、ちょうど作品作りに入っていく。その転換点にいるタイミングかもしれませんね。

    子どもたちが「映像表現」と出会う時

    フルマ齊藤:今のフルマに通っている子どもたちは、表現における「編集」の比重が、大きいです。やりたい表現がある時に、映像表現ではなくて、編集技術でなんとか表現することが多いです。

    去年のコンテストでトップ10に選ばれた中には、朝と夜を室内で表現するために、部屋の電気をライティングするように使い、表現している子もいました。今年のコンテストでも、表現に関してどんな工夫が出てくるか、楽しみにしています!もしかしたら、撮る時点で画作りを意識した「映像表現」にこだわってくる子が増えるかもしれませんね……。

    ソニー高江:スマホを持たれている若年層の方が増えている今、我々の世代よりも身近な存在になっていますよね。私たちソニーとしても「カメラ=スマホ、タブレット」ではなく、専用機ならではの映像表現を知ってもらうことで、自分が描きたいものを表現する、そんなサポートを是非したいです!

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    フルマ齊藤:先日は子どもたちに、カメラ専用機を手にとってもらうイベントを、ソニーさんと開催しました。今では、YouTubeを観る、スマホで撮影するなど、映像に触れるのは特別なことではなく、日常の一部になっています。そんな中で、専用機で撮影する体験が子どもたちには新鮮だったようです。「こんなに画質って違うんだ」「こんな風に、ボケるんだ」「こんなに寄っても、ピントが合うんだ」と驚いていました。

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    ソニー高江:スマホでも「ポートレートモード」を使えば、ボケの表現はできますよね。そうした機能との違いが、子どもたちに分かってもらえるか半信半疑な部分もありましたが、イベントで専用機を触って、感動してもらえたというのは、嬉しいですね!

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    ソニー高江:イベントで使っていただいたのは1インチセンサーのカメラ。もし、フルサイズセンサーのカメラなら、どんな印象を受けるのか……とっても興味があります!

    フルサイズならではの映像がどのようなものかを理解した上で、映像を観たり、作っていくと、子どもたちの映像表現も自ずと変わってくると思うんです。

    「子どもに、フルサイズは……」という声もあると思いますが、僕はそこに意味はあると思っています!もし、フルサイズを使うことで、子どものやりたい表現ができるのならば、そういった可能性も広げていってあげて良いと思っています。

    フルマ齊藤:トップのものに触れる機会は、子どもたちの視野が広がるきっかけになりますよね。タブレットで撮影していた子は、それが当たり前の表現であり、表現できる限界となってしまいますから。

    ソニー高江:そうだと思います!ただ、繰り返しになりますが、どこまでいっても、カメラは「手段」なんですよね。自分がまずやりたいものを考えて、起承転結を綺麗につなげるための「一つの演出」としてカメラの画質はあるのだと思います。

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    ソニー高江:たとえば、ものすごく画質の悪いスマートフォンで、悩んでいる人の表情を撮るとします。そうすると画質が荒いと、やっぱり繊細な表現はできない。人の背景も映ってしまうと、メッセージが尖ったものでなくなってしまうんです。

    それを分かった上で、「悩んでる瞬間を、その人の視線に目が行くような表現にしたい」となると、人の目線に合わせて、フォーカスした映像を撮り、後ろもボカす必要が出てくる。その時、ようやくカメラが手段として登場してくると思うんです。まずは、伝えたいものが何か考える!がポイントです。

    フルマ齊藤:「観てる人の注意をひきつけるため」「その表情の繊細さを見てる人に伝えるため」という目的があった上で、手段として背景をボカしたり、ズームをしたりする。そういう順番ですね。

    ソニー高江:それがまさに、映像表現です。真っ暗なシーンでその顔だけを映したい場合、やっぱりセンサーが大きい方がディテールが出ます。そこに、自分の表現したいものがあるんだったら、ぜひ専用機であるカメラを手にとって欲しいと、思いますね。映像制作を突き詰めていけば、そういうシーンは必ずあると思います。

    フルマ齊藤:編集技術での表現に飽き足らず、映像技術での表現まで磨きたいという、向上心のある子たちが集まってくると、もっと「自分の実力上げていきたい!」という気持ちも芽生えてくると思います!

    誰かに映像を評価される機会は、子ども時代はあまりありません。運動の得意な子向けには、たくさんスポーツ大会はあるのに、動画制作が得意な子にはないので、そうした周りから認めてもらえる機会や動画制作仲間が繋がれる機会も、フルマとして作っていきたいです。

    ソニー高江:それなら「どういう意図で、こういう映像表現にしたのか」みたいな映像の含蓄をクリエイター本人から聞いてもらうのが、絶対に面白いと思いますよ!トップクリエイターなら、トップクリエイターであるほど、いいと思います。映画監督の皆さんとのお付き合いもありますので、紹介します。

    フルマ齊藤:トップクリエイターから映像作りの話を聞くなんて、子どもたち個人では絶対にアクセスできない絶好の機会ですね。

    フルマは「子どもたちのやりたい!」をカタチにする会社なので、映像表現を突き詰めていきたい、と思う子どもたちにも、そんな機会をつくってあげられたらいいな、と思います。素敵なアイデアを、ありがとうございます。ぜひ、何かご一緒しましょう!

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    取材後記(フルマ齊藤)

    今回はソニーの高江さんと対談させていただきました。ご自身もクリエイターであり、同時に数多くのクリエイターを、カメラを通じて支援してきたソニーの高江さん。対談中、何度も「技術は後、伝えたいものが先」という話を繰り返しされていたのが、印象的でした。

    高江さんからは「大事なのは、テーマの大小や壮大な世界を描くことではなく、自分に身近なテーマで作品作りをする」というアドバイスもいただきました。子どもたちが手の届く、得意なフィールドの中で表現すれば、作品もまとめやすく、自ずと熱意も持って最後まで取り組めますね。

    今回のコンテストでも、観ている人の心を動かすために、子どもたちには「伝えたいもの」を、是非見つけてもらいたい。そして、身近な好き、自分の興味関心を大切にしてもらいたいです!

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    「ソニーシティ」1階にて、本コンテストで「ソニー賞」を受賞した子どもに贈られるVlogカメラ「VLOGCAM ZV-1F」を、偶然見つけ喜ぶフルマ代表齊藤

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